認知症の診察・物忘れ外来・診断・治療| 和歌山市・岩出市の脳神経内科 あさかクリニック

あさかクリニック

内科・脳神経内科・精神科・小児科

和歌山市新庄466-1

Tel.073-477-5155

認知症

認知症とは

「加齢による物忘れ」とは違い、正常だった脳の働きが徐々に低下する病気の状態です。

「加齢」と「認知症」の物忘れの違い

日常生活であまり重要ではないこと(芸能人の名前や、昔に読んだ本の題名など)を思い出すことができないのは加齢によるもの忘れの範囲内です。しかし、ついさっき自分が経験した出来事を忘れる、あるいは大事な約束を忘れるなどの場合は認知症のサインかもしれません。また、物忘れをしていることに自分で気づけなくなることも認知症のサインといわれています。

加齢による物忘れ 認知症による物忘れ
体験したこと 一部を忘れる
例)朝食のメニュー
全てを忘れる
例)朝食を食べたこと自体
物忘れの自覚 ある ない
探し物に対して (自分で)努力して見つけられる 見つけられない。
盗まれたなど、他人のせいにすることがある
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 徐々にしか進まない 進行する

軽度認知障害(MCI)

認知症の一歩手前の状態を、軽度認知障害(MCI)と呼びます。物忘れが強いなど認知機能の低下があっても、日常生活は問題なく送ることができている状態です。軽度認知障害(MCI)の人のうち、年間で10~15%が認知症に移行するとされています。

認知症の進行

認知症の原因

認知症の原因となる病気は多数ありますが、アルツハイマー病(約68%)、血管性認知症(約20%)、レビー小体型認知症(約4%)の3つの病気で、90%以上を占めます。その他、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など、外科的な治療により症状が改善する認知症もあります。

認知症の原因

認知症の症状

脳には様々な部位があり、記憶や空間認知など、それぞれの部位が異なる機能を持っています。認知症によって脳のどの部位が障害されたかにより、どのような症状が出るかが決まります。
例えば、アルツハイマー病では、記憶をつかさどる海馬が障害されるため、物忘れの症状が強くなります。

認知症の症状

物忘れ(記憶障害)

数分前や数時間前の出来事をすぐ忘れてしまう
同じことを何度も言う、聞く
置き忘れが増え、どこにしまったか思い出せない

日時や場所がわからない(見当識障害)

日付や曜日がわからなくなる
自分が今どこにいるかがわからなくなる

実行機能障害

料理など作業を順序立てて進めることができない
自分で計画を立てられない、あるいは予想外の変化に柔軟に対応できないなど、物事をスムーズに進められなくなります

理解・判断力の障害

運転などのミスが多くなる
ATMや自動販売機の前でまごついてしまう
その場の状況や説明が理解できなくなる

認知症の診断

病歴

物忘れや性格の変化、体の動かしにくさなど、いつからどのような症状が現れているかを伺います。

認知機能検査、神経診察

脳の機能は、記憶、言語、視空間認知など様々な領域があります。認知機能検査、神経診察を行い、脳のどの機能が低下しているかを明らかにします。代表的な認知機能検査には、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)があり、30点満点中20点以下の場合には認知症が強く示唆されます。

画像検査

CTあるいはMRI検査を行い、脳の萎縮がどの程度あるかなど評価します。アルツハイマー病では、記憶に関連する海馬という脳の部位が萎縮していることが多くあります。また、血管性認知症では小さな脳梗塞など、血流の悪い所見を認めます。

特徴的な症状 画像検査
アルツハイマー病 ・物忘れ
・もの盗られ妄想
・とりつくろい
海馬を中心に萎縮
脳血管性認知症 ・まだら認知症
・段階的に進行
脳梗塞が多発
レビー小体型認知症 ・幻視
・パーキンソニズム
CTやMRI検査では異常がない

認知症の治療

治療の目標

ご本人様だけでなく、ご家族様の生活の質(QOL)を高めることも重要とされています。薬物治療や非薬物治療だけでなく、利用可能な社会資源に関する情報も提供し、総合的な支援を行います。

薬物治療

原因の病気にあわせて薬剤を選択いたします。高齢の方では有害事象が出やすいため、少量から開始することが多いです。

アルツハイマー病の代表的な治療薬にドネペジルがあります。よく使用される薬ですが、一部の方で活発になりすぎたり、頻繁に怒るようになったり、介護者が困る症状が出現します。この場合は薬を減量あるいは中止することで、介護者が困る症状は改善します。また他にも嘔気、下痢など胃腸障害が出ることがあります。効果と有害事象のバランスを上手にとりながら薬を使っていくことが重要になります。

非薬物治療

自宅で引きこもり、活動性の乏しい生活をしていると、認知症はどんどん進行していきます。散歩や会話、読書などを継続して行うことが、認知機能の維持に重要となります。

認知症の非薬物治療には運動療法や音楽療法があり、当院併設のデイサービスで行っております。デイサービスなど介護サービスをご利用頂くことにより、ご家族様の負担も減らすことが出来ます。

ご自宅での介護が難しくなってきた場合

認知症が進行し自宅や施設での介護が難しくなったとき、専門の病院へ入院することで、介護者の負担を軽減することができます。認知症の方の徘徊や暴言などで困ったとき、ご家族様だけで悩まず、医療機関の力を借りることをおすすめいたします。

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