レビー小体型認知症の診察・治療 | 和歌山市・岩出市の脳神経内科 あさかクリニック

あさかクリニック

内科・脳神経内科・精神科・小児科

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レビー小体型認知症

レビー小体型認知症とは

レビー小体型認知症(DLB)は、脳内に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積することで起こる認知症です。認知症の中で3番目に多いタイプで、高齢者を中心に発症します。

主な症状と特徴

幻視

実際にはそこに存在しない人や動物、虫などが「はっきりと見える」と本人が訴える症状です。特にレビー小体型認知症ではこの幻視が非常に特徴的で、初期からみられることがあります。本人には現実の出来事として認識されるため、家族との間で混乱が生じることもあります。

注意力や意識の変動

ある日は普通に会話ができていたのに、翌日にはぼんやりとして反応が遅いなど、「その日の状態によって認知機能が大きく変動する」ことがあります。このような状態はレビー小体型認知症に特有で、アルツハイマー病ではあまり見られません。

パーキンソン症状

手のふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(筋強剛)、歩行が小刻みになる(小刻み歩行)など、パーキンソン病と似た運動症状が現れます。歩くときに腕が振れにくくなる、すくみ足になるなども特徴です。

レム睡眠行動障害

本来、夢を見る「レム睡眠中」は筋肉が弛緩し、体は動かないのが正常ですが、この障害があると睡眠中に夢に反応して「大声を出す」「殴る・蹴る」といった激しい動作を伴う行動がみられます。レビー小体型認知症ではこの症状が発症前からみられることがあります。

薬剤過敏性

特に抗精神病薬に対して強く反応しやすく、副作用(強いふらつき、せん妄、体の動きの悪化など)が出やすい傾向があります。これにより、通常の認知症治療薬や精神安定薬が使いづらくなることがあります。

アルツハイマー病との違い

アルツハイマー病では記憶障害が初期から目立ちますが、レビー小体型認知症では記憶の障害よりも「幻視」や「認知の変動」「パーキンソン症状」が先に現れる傾向があります。

▶ パーキンソン病とレビー小体型認知症の違いについてはこちら

検査と診断

問診・認知機能検査

患者さんやご家族への問診とともに、改訂長谷川式簡易知能評価スケールなどの認知機能検査を行います。記憶力、注意力、計算力、見当識などを総合的に評価します。

画像検査

脳の形態を確認するために、CTやMRIを撮影します。レビー小体型認知症では脳萎縮が目立ちません。

DaTSCAN(ダットスキャン)

核医学検査の一種です。脳内のドパミン神経の減少を評価することができます。レビー小体型認知症やパーキンソン病では集積が低下していますが、アルツハイマー病では正常なことが多いです。両者の診断に役立ちます。

ダットスキャン

治療法

ドネペジル(アリセプト)

注意力や記憶力の向上に加え、幻視や妄想などの精神症状の軽減にも効果があるとされています。副作用として吐き気・食欲低下に注意が必要です。

レボドパ

パーキンソン病の治療にも使われる薬で、脳内のドパミンを補充し、手のふるえや筋肉のこわばり、小刻み歩行などのパーキンソン症状を改善します。ただし、レビー小体型認知症では効果が限定的で、副作用に注意が必要です。

メマンチン

脳の過剰な興奮を抑えることで、認知機能の安定化や周辺症状(不安、興奮、攻撃性など)の緩和を図ります。ドネペジルと併用されることもあります。

非薬物療法

薬によらず、症状や不安の軽減を図るアプローチです。回想法(昔の記憶を語る)、作業療法(手作業を通じて集中力を保つ)、生活支援(環境整備や介護指導)などが含まれます。本人の尊厳を保ち、安心感を得られるよう支援します。

BPSD(認知症の行動・心理症状)への対応

認知症に伴って現れる行動や心理的な症状のことをBPSDと呼び、幻視・妄想・うつ・不安などがあります。BPSDが出現すると、本人・家族の負担が大きくなります。過剰な薬物使用は避け、環境調整や介護支援の導入が有効です。

入院が必要な場合

幻視や妄想によって本人や家族が生活できなくなった場合や、転倒や興奮が頻発する場合には、入院治療が検討されます。入院によって症状の安定や介護者の負担軽減が期待できます。

入院治療について(要約)

認知症が進行し自宅や施設での介護が難しくなったとき、専門の病院へ入院することで、介護者の負担を軽減することができます。認知症の方の徘徊や暴言などで困ったとき、ご家族様だけで悩まず、医療機関の力を借りることをおすすめいたします。

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