認知症・アルツハイマー病 | 和歌山市 内科・脳神経内科 | あさかクリニック

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認知症とは

「加齢による物忘れ」とは違い、正常だった脳の働きが徐々に低下する病気です。
認知症の原因としては次の3つの病気の頻度が高いとされています。
アルツハイマー病
脳血管性認知症
レビー小体型認知症

「加齢」と「認知症」の物忘れの違い

日常生活であまり重要ではないこと(芸能人の名前や、昔に読んだ本の題名など)を思い出すことができないのは加齢によるもの忘れの範囲内です。しかし、ついさっき自分が経験した出来事を忘れる、あるいは大事な約束を忘れるなどの場合は認知症のサインかもしれません。
また、物忘れをしていることに自分で気づけなくなることも認知症のサインといわれています。

加齢による物忘れ 認知症による物忘れ
体験したこと 一部を忘れる
例)朝食のメニュー
全てを忘れる
例)朝食を食べたこと自体
物忘れの自覚 ある ない
探し物に対して (自分で)努力して見つけられる 見つけられない。
盗まれたなど、他人のせいにすることがある
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 徐々にしか進まない 進行する

軽度認知障害(MCI)

認知症の一歩手前の状態を、軽度認知障害(MCI)と呼びます。物忘れが強いなど認知機能の低下があっても、日常生活は問題なく送ることができている状態です。軽度認知障害(MCI)の人のうち、年間で10~15%が認知症に移行するとされています。

認知症の進行

認知症の症状

脳には様々な部位があり、記憶や空間認知など、それぞれの部位が異なる機能を持っています。認知症によって脳のどの部位が障害されたかにより、どのような症状が出るかが決まります。
例えば、アルツハイマー病では、記憶をつかさどる海馬が障害されるため、物忘れの症状が強くなります。

認知症の症状

物忘れ(記憶障害)

数分前や数時間前の出来事をすぐ忘れてしまう

同じことを何度も言う、聞く

置き忘れが増え、どこにしまったか思い出せない

日時や場所がわからない(見当識障害)

日付や曜日がわからなくなる

自分が今どこにいるかがわからなくなる

実行機能障害

料理など作業を順序立てて進めることができない

自分で計画を立てられない、あるいは予想外の変化に柔軟に対応できないなど、物事をスムーズに進められなくなります

理解・判断力の障害

運転などのミスが多くなる

ATMや自動販売機の前でまごついてしまう

その場の状況や説明が理解できなくなる

認知症の診断

認知症の診断には
問診
診察
認知機能検査
血液検査
画像検査
が必要になります。

問診

これまでの経過を伺います。次のようなことを予め整理しておき、詳しく医師に伝えましょう。

どのような症状がいつ頃から出てきたか

家族はどんな症状で困っているか

今までにかかった病気、現在飲んでいる薬

診察

手足に麻痺がないかどうか、また歩き方などを評価します。

認知機能検査

脳のどの機能が低下しているかを調べるために、簡単な質問に答える検査を行います。改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタル検査(MMSE)などがあります。

血液検査

甲状腺の病気や、ビタミンB欠乏で認知機能が低下することがあります。血液検査を行い、これらの病気がないかどうか確認します。

画像検査

脳梗塞の有無や脳萎縮の程度を調べるために、頭部のCTやMRI検査を行います。また、必要な方には核医学検査を行います。

特徴的な症状 画像検査
アルツハイマー病 ・物忘れ
・もの盗られ妄想
・とりつくろい
海馬を中心に萎縮
脳血管性認知症 ・幻視
・パーキンソニズム
CTやMRI検査では異常がない
レビー小体型認知症 ・まだら認知症
・段階的に進行
脳梗塞が多発

認知症の治療

アルツハイマー病は、ゆっくりと進行していく病気です。現時点では根本的に治療して、認知機能を元の状態に戻すことは困難です。しかし、病気の進行をできるだけ遅くし、また家族の介護の負担を軽減することが治療の中心になります。

薬による治療

コリンエステラーゼ阻害薬

ドネペジルやリバスチグミンといった薬があります。認知機能が低下する速度を軽減する効果があります。嘔気や下痢など消化器症状に気を付けて使用します。

メマンチン

中等度から重度のアルツハイマー病の方に有効といわれています。コリンエステラーゼ阻害薬のみで治療を行っていた方に対して、変更あるいは追加して使用することが一般的です。

抑肝散

神経の興奮状態を鎮めて怒りっぽさやイライラを改善するとされている漢方です。

抗精神病薬

暴力や興奮、攻撃性を抑えるために使用します。副作用はありますが、落ち着いて過ごすことが出来るようになれば、ご家族様の介護負担が軽減します。クエチアピン、オランザピン、リスペリドンなどの薬があります。

薬を使わない治療(非薬物療法)

何もすることなく、家の中で呆然として暮らすだけでは、認知機能はどんどんと低下していきます。一緒に買い物に行く、掃除をする、洗濯物をたたむなど、簡単なことでも、続けることにより認知機能や生活能力の維持に役立ちます。
また、専門的なものではウォーキングや体操を行う運動療法、花や野菜を育てることにより感情の安定を図る園芸療法、音楽を鑑賞したり歌ったりする音楽療法などがあります。