脳神経内科
よくある病気についてお示しいたします。詳しいことや、その他のことは受診の際に是非ご相談下さい。
認知症
認知症の原因
認知症の原因となる病気は多数ありますが、アルツハイマー病(約68%)、血管性認知症(約20%)、レビー小体型認知症(約4%)の3つの病気で、90%以上を占めます。その他、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など、外科的な治療により症状が改善する認知症もあります。
診断
病歴
物忘れや性格の変化、体の動かしにくさなど、いつからどのような症状が現れているかを伺います。
認知機能検査、神経診察
脳の機能は、記憶、言語、視空間認知など様々な領域があります。認知機能検査、神経診察を行い、脳のどの機能が低下しているかを明らかにします。代表的な認知機能検査には、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)があり、30点満点中20点以下の場合には認知症が強く示唆されます。
画像検査
CTあるいはMRI検査を行い、脳の萎縮がどの程度あるかなど評価します。アルツハイマー病では、記憶に関連する海馬という脳の部位が萎縮していることが多くあります。また、血管性認知症では小さな脳梗塞など、血流の悪い所見を認めます。
治療
治療の目標
ご本人様だけでなく、ご家族様の生活の質(QOL)を高めることも重要とされています。薬物治療や非薬物治療だけでなく、利用可能な社会資源に関する情報も提供し、総合的な支援を行います。
薬物治療
原因の病気にあわせて薬剤を選択いたします。高齢の方では有害事象が出やすいため、少量から開始することが多いです。
アルツハイマー病の代表的な治療薬にドネペジルがあります。よく使用される薬ですが、一部の方で活発になりすぎたり、頻繁に怒るようになったり、介護者が困る症状が出現します。この場合は薬を減量あるいは中止することで、介護者が困る症状は改善します。また他にも嘔気、下痢など胃腸障害が出ることがあります。効果と有害事象のバランスを上手にとりながら薬を使っていくことが重要になります。
非薬物治療
自宅で引きこもり、活動性の乏しい生活をしていると、認知症はどんどん進行していきます。散歩や会話、読書などを継続して行うことが、認知機能の維持に重要となります。
認知症の非薬物治療には運動療法や音楽療法があり、当院併設のデイサービスで行っております。デイサービスなど介護サービスをご利用頂くことにより、ご家族様の負担も減らすことが出来ます。
パーキンソン病
パーキンソン病について
60歳以上の約100人に1人が持っている病気で、脳の中でドパミンというホルモンを作る細胞が減ることにより発症します。ドパミンを作る脳細胞は、健康な人でも年齢とともに自然に減っていきますが、パーキンソン病の患者さんの場合は、より速いスピードで減っていきます。ほとんどの方では特別な原因はありません。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状には、運動症状と非運動症状があります。運動症状は体の左右いずれか一方に出現することが多いですが、病気の進行とともに両方に見られるようになります。
運動症状
振戦(しんせん)
何もしないでじっとしているときに手足が震えます。
無動(むどう)
動きが素早くできなくなり、例えば歩くときに足が出にくくなります。また、話し方に抑揚がなくなり、声が小さくなります。
強剛(きょうごう)
肩、肘、膝などの筋肉が固くなり、スムーズに動かしにくくなります。痛みを感じることもあります。
姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)
体のバランスがとりにくくなり、転びやすくなる。転倒の原因となるため、注意が必要です。
非運動症状
匂いがわかりにくくなる嗅覚障害や、便秘や起立性低血圧などの自律神経症状があります。
診断
神経診察
先ほどの症状の有無を診察により確かめます。
画像検査
MRI検査を行い、脳の状態を調べます。より詳しく診断するためには、脳のドパミン量を測定する各医学検査(ダットスキャン)をおすすめいたします。ダットスキャンは日赤和歌山医療センター、和歌山県立医科大学付属病院で行うことができます。
治療
パーキンソン病は、L-ドパとドパミンアゴニストを中心に、複数の薬剤を組み合わせて治療します。症状にあわせて必要な量を使用するため、病気が進行すると徐々に薬の量は増えていきます。
Lドパ
パーキンソン病の患者さんで不足している脳内のドパミンの元となる薬です。L-ドパは、脳内で代謝されドパミンに変わり効果を発揮します。
ドパミンアゴニスト
ドパミン受容体作動薬ともいい、ドパミンに似た作用を持つ物質です。
難病の方が申請すべき事項について
障害年金
65歳前に次の1~3に該当する場合は、受給できる可能性があります。
1.初診日の証明が出来る
2.年金の保険料納付要件をクリアしている
3.障害年金の認定基準に達する障害状態ある
難病医療費助成制度
症状の進行した難病の方は、治療費の自己負担額の上限が設けられます。